真っ赤な炎が部屋一面に広がっていた。
その炎の中、私は1人、息も出来ずにいた。
「熱い!!苦しい!!誰か助けて!!」
周りを見渡しても誰もいない…。


「麻衣ちゃん、終わったよ。ちゃんと呼吸して!!」


そんな声で目が覚めた。
…とある病院の集中治療室のベットの上。

夢だった…。

ほっとしたのも束の間、夢から覚めたはずなのに息が出来ず、呼吸困難に陥ってしまった。
看護婦さんの「ちゃんと呼吸しなさい!」の声が聞こえる。
胸が痛くて息が出来ない。
体が熱い!!!!


産まれついての心臓の欠陥。
『心房中核欠損症』『僧房弁逸脱症候群』これが私の病名。
6時間の大手術の後だったのだ。

胸を開いて、肋骨も切っていた。
その為、術後は肺呼吸が出来なくなる。

「そうだ。腹式呼吸の練習したんだ」

心を落ち着けてゆっくり腹式呼吸をする。
やっと呼吸が楽になった。

私の体からは無数の管が出ていた。
見た事もない、機械に繋がれていた。
高熱も出て、まだ完全に切れてない麻酔のせいで頭がボーッとした。
胸には20cmの大きな傷…。
腫れ上がって5cm近く盛り上がっていた。
我ながら、何とも痛々しい姿だった。


でも私はワクワクしていた。
これからの人生に、胸が期待でいっぱいだった。
だって私は生かされたのだ。
2度も“命”を受けたのだ。

爪や唇が、今までの自分のそれとは明らかに違う、ピンク色をしていた。
指先は暖かい…。
手の先、足の先までちゃんと血が通っているのを実感できた。
じっとしていても心音が聞こえる。
17年間、聞き続けていた雑音だらけの心音ではなかった。
今までとは違うリズムを打つ心音が気になって、何日も眠れなかった。
嬉しかった。


それから半年後…芸能界に菊池万理江が誕生した。



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