満員電車


渋谷から乗る井ノ頭線。
疲れきった表情のサラリーマンやOL達…。

4人掛けの長椅子に座る、男性3人と女性1人。
右端の男性は新聞を、そして隣りの女性は小説を読んでいた。
また隣りの男性は携帯電話と睨めっこ。
左端に座る大柄な男性は、こちらをチラリと横目で見たきり俯いて目をつぶってしまった…。

疲れているのは分かっている。
何分もホームに並んで待ち、苦労してその席に座ったであろう事も、想像がつく。

しかし…。

その4人掛けに座る彼等の頭上には 『優先席』 の3文字。
そして私の頼りない腕の中には小さな小さな祖父と祖母…。

2人共背筋は曲がり、つり革には到底届かない。
必死に手すりにしがみつくその手は、しわしわで…小さい頃、私の頭を優しくなでてくれた、美味しい肉じゃがを作ってくれたその手とは、同じ手とは思えない程弱々しかった。


祖父母と別れて帰り道…。
私は涙が出そうなのを必死に堪えた。
とても悲しかった。

小さくなってしまった祖父母に…そして何より、冷たい日本の若者に…。



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